コロナウィルスがもたらしたもの、これからのコロナとの生き方
/この数ヶ月間、皆さんはどの様に過ごされましたでしょうか?
コロナウィルスの影響の為、世界規模で「普通」の生活というものが困難になりました。最近ではコロナ感染状況をモニターしつつも、少しづつ自由に動く事が可能になりました。(私はまだ自粛生活を送っておりますが。)歴史を振り返れば、定期的にこの様なグローバル・パンデミックが繰り返されていたとはいえ、我々の殆どは初めて体験する出来事で、多少なりとも混乱を経験されたのではないかと思います。
コロナ感染により命を失った方々、健康を害された方々、また大切な人を失った方々、お悔やみ、そしてお見舞い申し上げます。コロナウィルスは、この先まだまだ我々に影響を与えてゆくでしょう。経済が一時停止した為、生活の基盤が脅かされている状況で、我々の生活の中の上手く機能していない部分も炙り出されました。それぞれの立場により、何を優先すべきか受け止め方も異なると思います。今、立ち止まりから動きに移行しつつある中で、今回は森田療法、内観療法を専門とする私の思う節をシェアさせて頂きたいと思います。
セルフ(自身)・ケア、そして他者へのケア そのバランス
今の世の中の様々な出来事により、心身の混乱、疲労を体験されている方が増えています。また生活パターンが狂った事で厳しい状況に陥り、ストレスや辛い感情に苦しめられている方もおられるでしょう。
行動本位で局面に対処されている方は、この様な状況でも、比較的に建設的な生活を送られているかもしれません。その反面、心身が悲鳴をあげている、またそれに気が付かないかもしれません。あるいは強い感情に邪魔をされ、手も足も出なくなってしまっている方もいるかもしれません。”セルフケアの大切さ”、などと簡単に言うなと、おとがめを受けるかもしれませんが、自己の健康を守る事は先決だと思います。その為には、それぞれの置かれた状況にリアクティブ(考察以前の反応)になっていないか、セルフチェックしペースを取りながら、自分の心身を労わりつつも、今の自分には何が必要なのかを、明確にすることが大切ではないでしょうか。
皆さんの中には、「他人に迷惑をかけたくない」との一心で、「助けて欲しい」とは言えない方もいらっしゃると思います。しかし我々が今体験している事は、一生に一度あるかないかの緊急事態です。我々の多くが、もがいている状況です。例え助けを求めても、即急な解決には繋がらないかもしれません。それでも独りで悩むよりも2人(または数人)で考える方が、同じ様な体験を共有する事で、孤立感から解き放たれるかもしれません。信頼できる人が身近にいる方は、声をかけてみては如何でしょうか?相手も独りで悩んでいるかもしれません。
その反面、独りで考える時間を必要とする場合もあります。他人と会話をする事で、かえって疲労を感じてしまう方もおられるでしょう。自分の考えを整理し、その次にどうするか決めたいと思う方は、外野の声はいらないかもしれません。この中に「何でも自分独りで解決するべき」だと思われている方がいましたら、実はそうでもない場合もある事を提案したいと思います。独りで考える時間に区切りがつきましたら、信頼出来る方に、自分が歩んだプロセスを話してみるのもありだと思います。責任感の強い方に限って、「自分で何とかなる」と考えがちですが、それが思い込みである事もあります。他人との関わりが、面倒だと思われるかもしれません。そういう場合もあるでしょう。どういう状況でも、自分で自分を貶めない様にお気をつけ下さい。
私自身は、グリーフ(大切な人や、慣れ親しんだ状況が変わった時などに起こる悲嘆や喪失感)の時に経験する、様々な感情(否定、怒り、悲しみ、計らおうとする「取引」的感情、そして受容など)の間を行ったり来たりしておりました。しかしこれらは、この特殊な状況には起こりうる当たり前の感情と認識し、その都度できる範囲内で健康管理を行い、様子をみながら小さなやれる事から向き合う様にしました。その中には、「ひたすら寝て心身を休める」、「ボーッとする」という「行動」も含まれています。
どの様な場合でも、独りで対処できるもの、他者の助けを借りた方がいいもの、そして自分でコントロール出来るもの、出来ないものを明確にする事で、対処の糸口になればと思います。
この様な大変な状況の中でも、困っている方に手を差し伸べ、サポートを心がけている方々もお見受け致します。本当に頭が下がります。セルフのケアが出来れば、他者へのケアやサポートが出来る余裕も、出てくるのだと思います。なので、まずはご自分自身のケアから始めて下さい。
コロナウィルスーーー良くも悪くも、人間同士の繋がりを痛感させたもの
他者と同じ空間を共有、または他者との接触により、瞬く間に広がるという感染症の特徴。この様にコロナウィルスが広がっていく事で、今までは気にかけなかったかもしれない「自身と他者との繋がり」というのもを浮き彫りにしました。
「シェルター・イン・プレイス」は、人間同士が関わる事で成り立っていた「普段の生活」を一時的に断つ事で、ウィルス感染の拡大を防ぎました。そして外出を自粛し、それを守る事で、個々が責任を持って、感染予防に積極的に参加する方法が取られました。個人レベルで、その責任がどれだけ守られたか否かは別として、この状況で、自己の感情に左右されずに過ごせた方々は、「森田療法」でいうところの「事実本位*」で行動された例だと思います。(*事実本位とは、自分の置かれた状況の中で、最善・的確な行動に重点を置く生き方を指します。)
これから更に自粛が「解除」され、自分の行動に選択肢が出て来るでしょう。そういった状況の中で、自己・他者の健康を守る為の、最善な行動とは? 滞ってしまった仕事を、軌道に乗せるには何が必要? それを遂行する為には、どんな対策と安全策が必要なのか?、などなど、それぞれが抱える課題は多様です。我々の多くが感情に惑わされる事なく、事実本位で行動を取って行く事が出来れば、コロナとの共存も可能ではないかと思います。
(勿論、これは気をつけていても感染してしまった方を責めているのではなく、この時点でわかっているコロナについての情報、我々の置かれた状況などを考慮して、我々とコロナとのこれからの付き合い方をふまえての意見です。)
そしてもう一つの繋がりは、我々が如何に「独りで生きていない」という事を教えてくれました。
コロナ感染拡大の為、日々の生活に規制がかかった中で、自らを感染の危機に晒しながらも従事してくれた医療スタッフ、スーパー・コンビニの店員の方々、その他諸々の「不可欠労働者」の方々の恩恵により、医療、食糧、生活必需品に事欠くこともなく、過ごせている事への気付き。
コロナ前は、その様な流通システムのお陰で、我々の生活が支えられているのだろうとは、漠然と認識していたとしても、それを当たり前の事と捉えていませんでしたか? ここに気付かれた方は、まさしく「内観」でいう「他者にしてもらった事」にその重みを感じていると思います。
地方で暮らす方の中には、ほぼ自給自足をされている方もおられると思いますが、それも、完全に自分だけの力だけでの暮らしではないと思います。大地、水、太陽、空気などからの恩恵、そしてこれらの支えがなければ、作物も育ちません。山の中で、仙人の様な暮らしをされていたとしても、自然の恩恵をこうむっていると思います。
コロナ自粛の生活の中で、手作りや手料理が増えたと良く耳にしました。家族と過ごす時間が増えて、良かったり窮屈だったりと、様々な反応もお見受けします。また贅沢を省く、出来るだけ無駄を出さない、という生活を送られた方もいる様です(リサイクル生地での手作りマスクなどが、その代表だと思います。)皆さんそれぞれ想う事もあったと想像致します。皆さんにとって、コロナはどの様な体験をもたらしたのでしょうか。この体験をこの先、うまく生かす事はできるのでしょうか?そしてコロナと共存するとは、どんな生活なのか、まだまだディスカッションは続くと思われます。どうぞ呉々もお大事にして下さい。
私のカウンセリングセッションでも、仕事との向き合い方や、生き方の価値観を、今一度見直したいという声が増えました。内観ではクライエントさん自身の内面を調べ、森田療法では、クライエントさんの目標に向かって取れる小さな行動を考えていくお手伝いをさせて頂いております。この時期に来て、森田療法や内観が自分自身のため、そして皆さんのためにもお役に立っているという事を実感しております。
コロナの中で、ビデオチャットによる、リモートカウンセリングが主流になりました。日本とアメリカでは時差がありますが、ご興味のある方は20分の無料コンサルテーションを試してみませんか?どうぞお気軽にご連絡下さい。
幾つもの枝を交差して支え合っている樹木ーPacifica, CA